2013.10.01 UPDATE

日本でのビジネス拠点を設置する際の駐在員事務所、日本支店又は日本支社の選択方法

日本で売上計上が一切ない場合は、駐在員事務所の選択が可能であり、それ以外の場合は、日本支店か日本支社を選択することになります。

外国法人が、日本支店や日本支社などといった日本でのビジネス拠点を作る場合、下記3種類の形態の内、いずれかの形態を選ぶことになります。

①  駐在員事務所

②  日本支店 ※ 日本の法律では、営業所といいます。

③日本支社 ※ 外国の親会社が出資し、日本国内で株式会社や合同会社などの法人を設立します。

 

1.判断基準としてのPE

上記3種類の形態を選ぶ際の第1のポイントは、すでにPEがあるか又は今後売上計上予定であるかが判断基準となります。その際、以下で説明するPEの概念は理解する必要があります。

日本に恒久的施設(PE:Permanent Establish)が存在していれば、まず駐在員事務所の選択はできません。PEというのは、「外国会社が日本国内において行う事業を行う場所や人」と定義されます。つまり、PEを日本国内に持っていれば、駐在員事務所や日本支店、法人などの名称に拘わらず、法人税などが課税される拠点となり、PEを日本国内に持たない拠点であれば、法人税などが課税されない拠点(駐在員事務所)となります。恒久的施設(PE:Permanent Establish)が、具体的にどういうものなのかというと、法人税法と所得税法に規定されています。以下のようにPEには下記、3種類あり、それぞれ1号~3号PEと呼ばれます。

(1) 1号PEと呼ばれるもの支店、工場、その他事業を行う一定の場所

1号PEの具体例:

  • 支店、出張所、その他事業所・事務所、工場、倉庫(倉庫業者の事業用に限ります)
  • 鉱山、採石場その他の天然資源を採取する場所
  • 事業活動の拠点となっているホテルの一室、展示即売場 等

ただし以下の場所は、PEとは認められません。

  • 外国法人等が、資産を購入する業務のためにのみ使用する一定の場所
  • 外国法人等が、資産を保管するためにのみ使用する一定の場所
  • 外国法人等が、広告・宣伝・情報提供・市場調査・基礎的研究など、事業遂行にとって補助的な業務を行うためにのみ使用する一定の場所

(2) 2号PEと呼ばれるもの.国内において、建設・据付・組立等の建設作業を、一年を超えて行う場所

(3) 3号PEと呼ばれるもの.国内に置いた、自己のために契約を締結する権限のある代理人等

3号PEの具体例:

  • 外国法人等のために、事業に関する契約を締結する権限を有し、かつ、常習的に行使する者
  • 外国法人等のために、顧客の通常の要求に応ずる程度の数量の資産を保管し、かつ、その資産を顧客の要求に応じて引き渡す者
  • 専らまたは主として一つの外国法人等のために、常習的に、事業に関し契約を締結するための注文の取得・協議等の行為のうちの重要な部分を行う者

2.駐在員事務所の選択

すでにPEがあるか又は今後売上計上予定である外国法人は、駐在員事務所の選択はできません。具体的に、どのような活動が、PEをもたない活動になるのか.ということですが、日本国内で行う、以下のような活動が、それにあたります。

  • 本国会社への情報提供
  • 広告・宣伝
  • 市場調査
  • 基礎研究
  • 本国会社のための資産購入と保管

つまり、駐在員事務所を設立したときの事業活動は、情報収集や基礎研究など、日本国内での売上を伴わない活動に限定され、事実上、日本国内の取引先企業との契約業務や支払などの営業活動は行えません。契約業務や実際の収益業務などは親会社である外国会社が直接行わなければなりません。なお、始めは駐在員事務所を設立し、その後、営業活動を始める時点で、改めて日本支店や日本支社の設立を行うこともできます。

3.日本支店又は日本支社という選択

外国会社が、日本での活動拠点として、日本支店という形態を選ぶときにポイントとなる点について説明します。まず、日本ですでにPEがあるか又は今後売上計上予定である場合は、駐在員事務所の選択はできません。従って、日本での納税義務があること前提とした場合、日本支店と日本支社を選択することになります。ここでは、2つの拠点形態に関して、違いやメリット・デメリットについて少し説明します。但し、外国法人が、日本国内に、日本支店を設立するということは、外国為替及び外国貿易法上、外国法人が日本企業に対して行う直接の投資、対内直接投資と規定されています。これは、日本支店だけではなく、日本支社も同様であり、「対内直接投資」を行うこと=「設立する」ときには、設立した後行う事業の種類によって、事前の届出を、日本銀行経由で財務大臣と、各事業を所管する大臣に行う必要があります。

■【日本支店】のメリットとデメリット

メリット

【1】 設立登記時の負担が軽い。

日本支店設立に際しては、日本支社と同様に事務所を置く住所地を管轄する法務局(出張所)に登記をしなければなりませんが、日本支店の登記に関しては以下のように有利な特徴があります。

  • 設立にあたって払い込む資本金が不要
  • 登録免許税が9万円と日本支社(資本金額によるが最低15万円)に比べて安い
  • 定款作成が不要で費用がかからない。(日本支社の場合は公証手数料の約5万円が必要。)

【2】日本支店での赤字が外国法人の本店での所得と通算可能である

 日本支店が当面赤字と見込まれる場合、一般的に外国法人の本店での所得と通算可能である。

デメリット

【1】信用が得られにくい。

日本支店の場合は、外国法人と法人格が同一であるが、日本支社の場合、親会社である外国法人と法人格が別で一つの法人として独立しています。例えば、楽天で法人として口座開設してもらう場合、日本支社とは一部違う扱いを受ける等あくまで外国法人として扱われます。一方、日本支社の場合、日本国内の日本人が設立した株式会社や合同会社といった法人と同じに扱いをされ、日本でビジネス活動を行う点では、メリットがあるといえます。また、日本支社は、銀行などの金融機関からの融資も受けやすいことが多く、社会的信用も日本支店に比べて高くなるでしょう。

【2】日本支店で法的責任は全て親会社が負担する。

法人格が別である日本支社と親会社との関係と違って、法人格が基本的に親会社の外国法人に帰属する日本支店の場合、基本的に日本支店で負った負債や訴訟責任は直接的に親会社が負担することになります。

【3】税務申告・会計処理が煩雑となる。

 日本支店は、あくまで親会社の一部であり、日本支店の決算を外国法人である親会社が合算して、申告する必要があり、親会社の会計処理が煩雑となります。その際、日本国内で法人税を負担した際の外税額税控除、為替の換算等日本支社と比べて、外国法人の親会社の煩雑さのみならず、日本支店の税務申告でも親会社の決算書添付義務等があり、時間的にタイトになることが多いです。

【4】登記事項の変更が煩雑となる

日本支店で登記事項とされている親会社の情報に変更があった場合、日本支店も日本の法務局に対して登記変更の手続きを行わなければなりません。

■【日本支社】のメリットとデメリット

外国会社の日本支社は、日本国内において、その子会社として日本支社を設立するわけですから、たとえそれが、外国会社出資による100%子会社であったとしても、設立登記手続きやその後の運営は基本的に、日本人が会社を設立するときと同じです。

■ メリット

  • 日本支店のデメリットがメリットとなります。
  • それ以外に ①意思決定権は基本的に日本支社にあり、独立した法人として運営が可能であります。

     ②海外から派遣される外国人取締役や外国人社員の就労ビザの許可が、日本支店に比べて下りやすい。

■ デメリット

  • 登記に必要な費用(登録免許税や定款認証料)など、日本支店に比べて多少高額であります。

 

以上

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